滋賀県の医師確保対策
滋賀県は、人口10万人あたりの医師数が約231人(2016年度)と、全国平均を20人程度下回っています。全国ランクでは31位のため、平均よりやや下の水準ともいえますが、医師が不足していることには違いがありません。しかし、医師を確保するため、滋賀県も独自に様々な取り組みを実施しています。特に目を引くのは基金の創設と手当の2つです。医師確保へ向けた大きな支援策となりうるでしょう。
引用:https://localchara.jp/catalog/1039/
県が3億円の基金を創設予定
滋賀県では、医師不足を解消するための基金創設が予定されています。基金を創設するための条例を作成し、更に積立金を盛り込んだ予算案を作成するとしています。活用方法については今後の検討課題になっていますが、基金の規模は3億円とかなり大きな金額です。医師個人への助成金として使われるのか、それとも医療機関で医師養成のために使われるのかは分かりませんが、活用方法はいくつも考えられます。その方法次第では、画期的な取り組みになる可能性もあります。
産婦人科医への特殊勤務手当を支給
滋賀県の長浜市では、全国的に見ても珍しい取り組みが行われています。産婦人科で働く医師に対して、2つの特殊勤務手当が支給されているのです。この手当は2007年1月から実施されており、産婦人科医へ1日あたり5,000円、更に分娩に立ち会うと1件あたり3,000円が支給されています。これは市立長浜病院でのみ行われている取り組みですが、年間数百件の分娩実績があり、更なる体制強化を見越して始めたものです。
条例では1日あたりの特殊勤務手当は上限が1万円、分娩は5,000円と上限を規定しています。ですが、こうした取り組みはかなり珍しく、手当という形で支給しているのがポイントです。一般的な自治体では、医師個人に対して様々な補助金・助成金を提供しています。ただ、支給条件などが定められており、取扱い上も手当とは異なります。
長浜市が条例を改正し手当支給へと至った背景は、産婦人科医の不足があると考えられます。同市民病院は、平日に産婦人科医2人で対応しているものの、毎年数百件の分娩が行われています。このため産婦人科医の負担が大きく、体制を拡充するために手当という形で補助を行っているのです。このような手当は、埼玉県の蕨市立病院など一部で実施されていますが、全国的に見ても非常に少なく、かなり稀なケースとなっています。
第四次滋賀県立病院中期計画を策定
滋賀県は将来を見据え、2017年に第四次滋賀県立病院中期計画を策定しました。2007年より定期的に改定されており、この案は2020年までの4カ年に渡って計画が実行されます。第四次滋賀県立病院中期計画では、主に以下のような取り組みを行うとしています。
- 安全な医療を提供し、現在の病院事業を継続
- 公的病院の経営基盤強化
- 委託業務見直しなど費用対効果の推進・適正化
- 滋賀県立病院経営協議会を開催し外部評価を行う
- 人材の育成(資格の取得支援や研究休職制度の活用など)
このような内容が盛り込まれており、県内を取り巻く医療環境のさらなる改善・水準の向上が目標になっています。計画に盛り込まれたこれらの計画が実行されると、医師の働き方や役割も変化していくと考えられます。