医師不足・道内での医師の偏在が深刻な北海道
北海道は全国で最も広い面積を誇りますが、人口密度は低く、過疎地も決して少なくはありません。人口が少ない自治体も多数あるうえ、道内では医師の偏在が問題になっています。問題が深刻化している自治体も多く、医師の確保で苦労している医療機関もあります。北海道は全国でも特に医師の偏在が顕著で、医療格差が生じているのも実情です。
10万人あたりの医師数を見てみると、全国平均を下回っており、医師の確保が急務な状況におちいっています。内科系が増えているものの、外科系の医師が減少しており、医療機関あたりの平均医師数の減少にも拍車をかけています。更に北海道の自治体別に見ると、札幌都市圏で医師の約半数を占めるなど、一極集中の傾向も見られます。地域偏在が著しいといっても過言ではありません。
具体的な北海道の医師確保対策
しかし、北海道も手をこまねいている訳ではありません。大学との連携や地域枠の拡大、貸付事業などによって医師の確保に努めており、全国でも先進的な取り組みが行われているのです。他県でも似たような取り組みは実施されていますが、医師確保への力の入れようは全国でもトップレベルといえるでしょう。
北海道は面積が広大なため、ほぼ全域で医師不足が深刻化していますが、こうした取り組みで医師減少に歯止めをかけようとしています。特に札幌都市圏外での医師不足が顕著なため、過疎地での医師確保に力を入れているのが特徴です。(当サイトでは、別の記事で青森県の医師確保対策に関しても執筆しているので、東北地方の医療に興味がある方はぜひご覧ください。)
引用:https://www.travel.co.jp/guide/article/2878/
医育大学の定員や地域枠の拡大
北海道には3つの医育大学(北海道大学・札幌医科大学・旭川医科大学)がありますが、これら3大学の定員拡大のほか、地域枠の確保も行っています。2004年より卒業後臨床研修が必修化されましたが、これによって医師の偏在化が顕著になりました。このため、国が定める緊急医師確保対策により医育大学の定員増が認められ、北海道でも40名ほど増員されています。
ただし、こうした医師確保のための定員増は暫定措置になっており、2020年以降に関しては将来の医師の需要予測や、医師の養成・定着状況などを踏まえた上で決定するとされています。2028年以降は医師が過剰になると見込まれていますので、今後は北海道でも定員が減らされるか、医師の地域偏在化が緩和されると考えられます。
北海道医師養成確保修学資金貸付事業(地域枠制度)
もう一つ、北海道が医師確保のために力を入れているのが貸付金の地域枠制度です。北海道医師養成確保修学資金貸付事業という制度で、2008年に北海道が独自に設立しています。公的医療機関で勤務を検討中の個人に対し、修学金を貸し付ける事業です。これによって地域医療の格差をなくし、医師の養成・確保することを目的としています。「医師不足・偏在が顕著な地域の公的医療機関」勤務を希望する場合にのみが貸付の対象です。
条件はやや厳しいですが、地域医療を支える医師を確保するための有効策となっています。利用実績も比較的多く、年々地域枠は拡大され、貸付実績も増えています。一定の効果が出ていることから、医師の偏在化緩和に一役買っていると評価できるでしょう。
引用:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/j_and_s_high-school.htm
過疎地における医師確保のモデルケースとなりうるか
北海道は医師数が全国平均を下回り、更に半数が札幌都市圏に集中するなど、医師の不足・偏在化が目立っています。しかし、それを補うために様々な施策を行っており、一定の効果を出しているのが特徴です。特に過疎地向けの取り組みとなっていますので、今後これらがモデルケースになる可能性もあります。こうした取り組みが成功例となれば、全国へと波及することも十分に考えられるでしょう。