沖縄県の医師確保対策

沖縄県は多数の島からなる県ですが、地区によって医師数の偏りが激しいのが実情です。那覇市などの南部地区は全国平均を大きく上回っており、2014年度には人口10万人あたりの医師数が293.3人になっています。しかし、宮古島や八重山地区はそれぞれ176.4人・174.7人と、南部地区より100人以上少なく、医師不足が深刻化しています。

こうした実情があることから、沖縄県では医師の確保に力を注いでいます。海外の大学と連携して研修を実施したり、大規模な基金を設立するなどしており、行政が全力で問題へ取り組んでいる姿勢が伺えます。特に先述の宮古島・八重山地区と沖縄本島北部へ重点を置き、これらの地区で安定した医師の確保を目指しています。

「ハワイ-沖縄 医学教育フェローシップ」による研修機会

沖縄県はハワイ大学の医学部と連携し、「医学教育フェローシッププログラム」を行っています。これは2012年から始まった取り組みで、若手の医師を養成することが目的です。海外の大学医学部と連携しているのが特徴であり、他の都道府県の事例と比較しても点が非常に珍しいケースといえます。

医学教育フェローシップは、ハワイ大学の医学部が開発し、沖縄県内で働く医師が協力して実行される臨床教育カリキュラムです。将来沖縄の医療を担う若手医師に対して、臨床研究などに必要な知識の習得をサポートし、経験を積ませる機会を与えるとしています。また、参加者同士が互いに助け合ったり、コミュニケーションを取りながら知識を深め、参加者間のネットワークを構築することも目的になっています。このプログラムは1年を掛けて行われ、修了者は県内各地の医療機関へ配属されています。少しずつではありますが、プログラムによる実績が出ており、今後も目が離せない事業です。

引用:https://ameblo.jp/taketaketour/entry-12279314858.html

医師不足解消に20億円の基金を創設

医師確保のため、沖縄県がもう一つ取り組んでいるのが基金です。2014年に20億円規模の基金を創設しており、主に離島やへき地の医師確保・医療格差解消を目的にしています。2014年から5年間を目処にしていますが、20億円もの基金は全国でもほとんど例がありません。単純計算すると、年間4億円を医師確保策に充てることになります。

この基金は県病院事業局が主軸となり、沖縄の本島北部や宮古地区などへ重点的に利用されます。基金は産科医の開業支援や、医師派遣時に発生する諸費用の支援など、様々な用途に使用されており、医師の安定的な確保を目指しています。これらの地域は、産科医を始め多数の診療科で慢性的な医師不足におちいっており、基金による偏在緩和が期待されています。