兵庫県では播磨地区の医師数が全国平均より少ない

兵庫県は人口10万人あたりの医師数が全国平均に近く、県内全域で見た場合は医師が足りている状況ともいえます。特に神戸地区と阪神南地区は、いずれも医師数が全国平均の100%以上です。しかし、全国平均を上回っているのは神戸地区と阪神南地区の2つのみで、これらの地区が平均を押し上げており、それ以外は大幅に下回っているのです。中でも医師不足が深刻になっているのが播磨地区で、全国平均の7割に満たないエリアもあります。

播磨地区を個別に見ていくと、特に医師不足が顕著なのは西播磨です。2012年度の調査データでは、人口10万人あたり153.2人となっており、全国平均の237.8人より80人以上も少ない状態になっています。全国平均のおよそ64%程度しか医師がおらず、不足している状況が見て取れます。なお、2010年~2012年にかけては医師数が減少しています。

ただ、医師不足が深刻なのは西播磨だけではありません。他の播磨地区も全国平均を軒並み下回っており、最も多い中播磨でさえ201.2人という状態です。全国平均の7割台しか医師がいない状況になっており、医師の確保が喫緊の課題といってもおかしくはありません。この状態が長引けば、医療サービスの水準低下や、提供そのものに影響が出てしまうでしょう。

このような現状から、兵庫県内では医師の偏在が顕著になっているのです。他の都道府県も似た状況の地区はありますが、播磨地区の医師不足は特に大きな問題といえるでしょう。

引用:http://www.shokoren.or.jp/

兵庫県の医師確保対策

播磨地区の状況を見ると、2025年までに早急な対策が必要になると考えられます。しかし、兵庫県は神戸・阪神南以外の地区が全て全国平均を下回っており、特にへき地へ行くほど医師不足が深刻化しています。このため、状況を打開するため多様な取り組みを実施しているのです。県をあげて医師数そのものを増やすとともに、こうした地域間格差をなくそうと努めています。

兵庫県医師会ドクターバンクの設置

兵庫県では、医師の確保を目的としてドクターバンクを設置しました。県医師会が有料職業紹介事業の許可を得て設置したもので、県がそれをバックアップする形になっています。医師会と連携するなど、他の都道府県とは少し違った取り組みで、主に以下6つの役割を担います。

  1. 郡や市の医師会の活動をフォロー
  2. 過疎地の病院などを見学するツアーの実施
  3. 過疎地の病院での診療体験プログラムを実施
  4. 医師への技術的な研修を行う
  5. 都市部・過疎地での医師のマッチング事業や相談窓口の設置
  6. キャリア形成の支援や研修など

このような取り組みをドクターバンクが実施します。実はドクターバンク自体はよくある施策で、全く珍しいものではありません。しかし、ここまで踏み込んだ事例はほとんどなく、兵庫県ほど積極的な地方自治体は皆無に等しいでしょう。ドクターバンクが医師のキャリア形成を支援し、過疎地の体験プログラムまで担うなど、兵庫県の取り組みは一歩先を行っているのです。特に過疎地へ比重を置いている点は高く評価できます。

引用:https://www.hyogo-doctorbank.com/

へき地勤務医師を養成する「兵庫県養成医師制度」

兵庫県はもう一つ力を入れているのが「兵庫県養成医師制度」です。兵庫県が医学部生に対して修学資金を貸与し、育成した医師をへき地の病院へ紹介・派遣する制度になっています。県内にある医育大学のほか、鳥取大学や岡山大学とも連携しており、これらの大学へ入学した場合に授業料などが6年間貸与されます。

修学資金は卒業後に返済が求められますが、卒後2年以内に医師免許を取得し、その後県内の指定病院で9年間勤務すれば全額免除になります。貸与総額は各大学ごとに異なりますが、最大で数千万円の支援を受けられます。

修学資金の金額に目がいきがちですが、へき地に派遣された医師に対しての支援や相談体制も整えられています。このため、卒後も県の手厚いバックアップを受けられるのが最大の特徴といえます。派遣終了後のへき地への定着も推進しており、地域格差をなくそうとしている県の姿勢も伺える制度です。