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平成20年度 第1回議事概要
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日時 

 平成20年11月16日(金) 13:58~16:20

場所

 (財)地域総合整備財団 1階会議室(東京都千代田区平河町2-5-6)

出席者

 委員

   杉並区 政策経営部企画課 行政管理担当係長 今井 一

   首都大学東京大学院 教授 大杉 覚

   財団法人地域総合整備財団 常務理事 小川 登美夫

   神奈川県立保健福祉大学 教授 河 幹夫

   総務省 自治行政局合併推進課 行政体制整備室長 吉川 浩民

   倉敷市 総合政策局企画財政部 行政経営課 渡邉 直樹

 ゲスト講師

   株式会社ジェイコム 常務取締役 パブリックビジネス事業本部長 清水 洋一郎


議事次第

1.開 会
2.委員紹介
3.議事
 (1)平成20年度研究会の進め方について
 (2)市場化テストの概要及び取り組み状況
 (3)倉敷市からの事例報告
 (4)杉並区からの事例報告
 (5)株式会社ジェイコムからの事例紹介
 (6)その他
4.閉 会


1.開 会

2.委員紹介

3.議事

(1)平成20年度研究会の進め方について
事務局より、資料1について説明。
(2)市場化テストの概要及び取り組み状況
事務局より、資料2について説明。

(3)倉敷市からの事例報告 
渡邉委員
<官民競争入札導入の経緯>
* 現在の経済状況からの税収入の減少などによる経済的理由
* 人員的要因。2007年問題が起因。この5年で、800人以上(20%以上)が退職(普通退職を含む)。更に10年間では、1,500人(市の職員の40%)が退職(人事部調べ)。年齢構成は、昭和20年度組、21年組が退職、50代が非常に重い。逆に40代がほとんどいないという状況。
* 第2次定員適正化計画を立案。前市長(平成16年の選挙当選時)の方針。市の職員を400人減らすとした。実績で言うと、計画以上に進んでいて、20年度で3,625人となった。
* 行政の事業テーマの複雑化。人権や環境など新しい分野へ肥大化し、複雑化。財源・職員減少の現状で対応不可能。
* 指定管理者制度での実績<市民サービスの向上>。平成18年度から本格的に指定管理者制度を導入。民間事業者は、自販機、軽食コーナーの設置、利用時間拡大、自主事業運営、料金値下げなどを実現。住民の満足度、高い支持を得ている。

<官民競争入札の目的>
* 競争原理を入れてのサービスの質の向上と経費の削減。サービスの質の向上に重きをおいている。しかし、現状は、不況で税収が少ないため、経費節減が重要視される傾向にある。
* 職員の意識改革
* 官民競争の促進


<対象事業(車両維持管理業務)の選定経緯>
* 事業仕分け。すべての事務事業についての可能性を探るため、事務事業(約2,231件)の仕分けを実施。「仕分けをした段階では明らかでない」としたものが98、「全部民間」としたものが129。事業の中に、明らかに民間が有意なもの、明らかに直営が有意なものもある。それが明らかではないものというのが、対象事業の候補になる。
* 可能性調査。仕分け後、民間実施の可能性について検討。議会の審議、パブリックコメント実施、更には民間企業から本当に手が挙がるかどうか(アンケート調査実施)について調査。
* 議会で様々に議論されたが、この制度に対する理解を得ることは容易ではなかった。執行部の中でも民間委託に難色を示す者もいる。結局このような現状の中で残った業務が、統計、車両維持管理、職員研修の3つであった。

<官の勝因>
* サービスの発展性がなかった。事業の提案に際して、新しいことを取り入れる自由度がほとんどなかった。
* 情報量の違い。市役所は、実務経験から、情報量はけた違いに多い。1台1台の特性を知っている人と知っていない人では全然違う。指定管理の選定でも同じことが言える。
* 運営の制約。業務の発展性がほとんどなかった、新しい価値を生む部分がほとんどなかった。これがないと民間が参入するメリットが何もない。
* 人件費の削減。今まで正規の職員だったのが、嘱託に変わった。

<コストに関して>
* 倉敷市は、退職給付費用が、職員1人当たりで約45万円、間接部門費が約150万円、総額約1億8,800万とし、直接人件費は、ランクによって違う。一般職だと680万円、課長級だと1,000万円弱ぐらい。ランクごとの経費を直接費として計算する。
* 民間の場合は、更に消費税、金利や利益の配当など考慮が必要だが、役所にはない。したがって、経費面だけだと、役所の方が有利なのではないか。
<成果>
* 経費の削減については、2割ぐらい落ちた。よって、この点では、成功したと言える。一方、サービスの質の部分では、何が向上したという部分が実はない。その点では、失敗だったと思う。市場化テストが今、なかなか前に進まないのはこの点ではないかと思う。

<今後の課題>
* 当初、予定していた車両維持管理業務は、車の所有権を含めたリースであった。リース事業によって、市役所の車は、利用時以外は、例えばレンタカーとして使える。このような新しい価値がないと、やっても意味がないと思う。
* リースを行わなかった理由:市内の特別な事情。もし市がリースをやると、地元の60社ぐらいの事業者(自動車整備工場、下請け会社など)が全部だめになってしまう恐れがある。市役所は、小さい地域経済のことも考えないといけない部分がある。

(質疑応答)
* (渡邉委員)全部民間でやった方が良いと判断された129の事業については、民間委託を既にやっているものもあるし、直営のものもある(指定管理なども含む)。
* (渡邉委員)市場化テストそのものの評価の前に、要らない業務はやめた方がいいという事業は、本当にやめた。
* (小川委員長)「民間、行政のどちらが事業を運営すべきかが、明らかでないもの」を競争させるというのは、非常に参考になったと思う。

Q(小川委員長):車両の関係で、これは官の方だと、租税はわかるが、民間の任意保険は入っていないのか。
A(渡邉委員):自動車の任意保険の業務は入っている。自賠責保険料、任意保険も込みで物件費として計算している。

Q(小川委員長):「民だと少し飛び出す保険」というのは何か。
A(渡邉委員):保険というのは、リスクという意味。役所は、失敗したときのリスクを考えていない。

Q(小川委員長):事故が起こったときに、多額の出費になるので、自賠責のほかに任意保険も入る必要があるのではないか。
A(渡邉委員):車両のいわゆる任意保険というのは、今回の業務で言うと、物件費の中に入る。ここに書いてある保険というのは、役所は、何かの事業をして赤字が出ても、例えば予備費ではないが、何かお金を出す。企業のような場合には、赤字が出たらいけないから何か考える。
A(清水氏):企業としては、それは、見えない要素と考える。費用として、少し多く見積もっておく。
A(渡邉委員):利益に入れた方が良いのかもしれない。

Q(小川委員長):管理している車両の約440台というのは、小さい車両か。
A(渡邉委員):大半は軽4のワンボックス、4ナンバー、5ナンバーの軽4、その他、塵芥収集車、トラック、バスなども一部にはある。

Q(小川委員長):民間のレンタカー会社は、扱う車両が、軽車両となると、実際はもう少し大きなものが対象かと思うので、本事業は難しいのかも。もし、本事業を民間でと言うのであれば、移行準備をするためにも、もう少し期間を長くする(例えば10年ぐらい)と言ったらどうなのか。手を挙げる人は出てくるのでは。
A(清水氏):5年ぐらいで良いと思うが、10年は、マーケットリスクがあり推定できない。5年なら我慢できる。1年、2年では短いと思う。場合によっては、3年目から、赤字でもプラスになると思う。
A(渡邉委員):応札いただいた方からも同じような御意見があった。(市場化テストという手法が全国的にも)初めてだから、行政も余り長い期間をやるのは怖かったので、短い期間でやった。やはり5年~7年、軽4の減価償却は6年ぐらいなので、それが目安となっているということだと思う。

Q(小川委員長):事務事業の仕分けで、「直営の方が明らかに質も効率性も向上する」とされているものが、一般的な感覚で言うと多過ぎるような気がするが、これは、要は行政でなければしてはいけないというか、そういう規制があるものも含めてということか。
A(渡邉委員):役所の業務を仕分けしていくと、結構小さな業務がたくさんある。よって、余り小さい業務は、そこだけを民間に委託するというのはできない部分が多い。また、ITの進化によって、民間の人にシステムの中に入って来られないというようなところが結構多い。やはり住民基本台帳や納税者コードなどで、ITが逆に民間委託を阻むところというのはある。今回の車両維持業務では、この部分のみが、サーバーが別だったので、うまくできた部分があったが、オンラインをどうするのかという議論がどうしても出てしまう。したがって、1,267が直営なっている。

Q(小川委員長):市議会での議論の影響は、どのようなものか。また、個別の議論も行ってもらったのか。
A(渡邉委員):(市議会の)各常任委員会へ諮った。議員にとって、自分の肝入り事業が、縮小・廃止になっていると、少し感情的になる方もいる。そうなると、役所の中も大混乱になってしまう。

Q(小川委員長):この議論はオープンにされているのか。
A(渡邉委員):市役所の委員会というのは一応公開でやっている。傍聴も可能。

* (清水氏)性能発注だと、民間で創意工夫ができるから、提案が増える。しかし、今のパターンでスペックが決まっていると、やはり難しいというのが、大きな問題だと思う。また、地元の産業を守るのか、そういう配慮が必要だという話は、非常に大事な視点だと考える。本事業は、何のためにやっているのか。市の施策は、やはり市民の産業のためにやっていると言われたら、それはなかなか難しい。が、市外の業者が入ってくることで、活性化するかもしれないという可能性もある。競争原理が働かないと、地元の整備業者も競争しなくなってしまうのではと懸念する。
* (渡邉委員)公共サービス改革法のポイントは、性能発注。一般入札だと「安かろう、悪かろう」という状況になりがちで、それでは困る。質は下げない、何か新しいサービスまたは、価値を生むことが重要だと思う。しかしながら、地元への配慮というのは、やはり地方自治体という観点からどうしても必要で、全く配慮しないというわけにはいかない。

Q(小川委員長):選定委員会の関与はどのようになっているのか。
A(渡邉委員):今回の選定委員会には、発注の前の部分、どこまでの範囲を業務範囲とするのかということについての権能はない。あくまでも募集要項に対して、どの業者が一番良いかというところだけを選んでいただいた。勿論、本当はもっと前から入っていただいてやらなければいけなかった部分だと思う。

Q(大杉委員):様々な議論が出てきたときに、それを改善する方向に動かしていくような仕組みが、市場化テストにおける業務の中で、どういうような位置付けになっているのかということにも関わってくるかと思うが。
A(渡邉委員):選定委員会には、今回はそういう権能は全く与えていない。ただ、委員会のコメントも、この業務はそもそも民間でやらすべきではないのかという附帯意見も付いたりもしている。本事業は、将来的には、民間で行ってもらう業務だという御意見もいただいているので、今後考えていく必要があるかと思う。

Q(小川委員長):今後どうするのか、車両以外の実施を検討しているのか。
A(渡邉委員):職員数が、まだ百何十人減るので、何かの部分を民間委託しないといけないと思う。しかし、この手続を踏むかどうかは未定。

(4)杉並区からの事例報告
*今井委員
* <制度導入の背景> 
*杉並区は、平成11年度の段階で経常収支比率が94%超えた。自治体としては、かなり厳しい状況に追い込まれた。まず、事務事業を見直すということから始めていった。
* 平成11年に、全事務事業評価を実施。各所管で、事務事業を一つずつ全部見直していった。見直した上で、民間に委託できるものは委託、事業の一部においても委託可能なものは進めてきた。
* 平成17年にスマート杉並計画を立てた。
* 戦略目標を、区の仕事の6割を民間、NPOと協働あるいは民間を活用していくということに併せて、経常収支比率は80%にしていくこととした。また、職員の定数を平成22年度までに、平成12年度比で、1,000人減らすという削減目標を立てた。
* 17年度からの目標として、民間委託の積極的推進があった。実際17年度は、約44%が民間に一部、または全委託できた。18年度では50%分を超えた。
* この時点で、行政のレベルでは、かなり頭打ち。職員が、意識改革をして、アイデアを出しながらやっていった中では限界に近い数字。ここからあと10%延ばすにはどうしたらいいのか、民間の力も借りて、新しいアイデアを取り込む必要があった。
* 平成18年の4月に検討会を設置した。大杉先生を始めとして、外部の委員の方々と議論した。民からの自由な発想を生かす仕組みを導入しようということになった。職員の官の中での発想というのは限度があるので、その状況で、意識改革をしても、やはり目標値には達成できないだろうというのが区の判断であった。

<モデル事業公募方法>
* 本来、行政がやっていくべきところ、民間でもできるところということで仕分けをして提示をすべきところもあるかと思うが、杉並の場合については全事業、すべての事務事業、平成20年度は、857事業すべて対象事業として公表している。
* ある程度、事業を狭めてしまうと、その時点で行政の何らかの思惑が働いてしまう。民間の自由な発想を重要視し、漠然という部分もあるが全事業を対象にしていく。

<制度の特徴>
* 担い手の育成。杉並区では、杉並地域大学を平成18年度から開校して、担い手の育成を一部で図っている。
* モニタリング。質の確保を目的として、民間事業化後のモニタリング体制を構築し、委託事業の安全管理を徹底。


<本格実施の取り組み>
* 本格実施は、平成19年度から募集。民間事業化の6つの評価指標を視点として、選考の方法等を検討し、公募を実際にかけた。
* 事務事業評価表あるいは全事務事業の一覧を出しただけでは、事業者もなかなか理解できない。したがって、不明な点については、民間から直接質問を受けるという期間を設けている。
* 本事業は、行革が一つの背景にある。よって、既存事業が対象となるので、新規事業の提案は受けていない。今ある事業をそのまま委託という提案も受けていない。

<審査方法>
* 提案を受け、事前に所管課から提案についての所見の提出とヒアリング。その後、外部委員による書類審査の段階で、ある程度絞り込んでいただく。その中から外部委員の方が直接所管課にヒアリング。その後、事業者とのヒアリングを設けるという流れ。
* 最終的には、選定委員会としての結論を報告書という形でお出しいただく。それを基に、区として最終的な決定をする。

<審査結果の分類>
* 採用の分類は、採用区分が、大きく分けABCと3つ。特にAの中には、更に3つの区分としている。A-1は、独自性の高いもの、A-2は、独自性が比較的高くないもの、A-3は、独自性がないもの。いわゆるプラスαも含めて、民間のノウハウが活用できるかどうか、あるいは地域のネットワークなどについても見る。
* B区分は、継続協議としての採択。継続協議は、区側の体制、予算、方針が、提案内容に十分に対応できない状況にあり、内容について、区と提案事業者が具体的に調整する必要があるというもの。
* Cについては不採用。

<提案分野の内訳>
* 平成20年度は、企業の公募が極端に少なく前年度の3分の1近くなっている傾向がある。
* 公募の採択状況については、これまで10提案。「債権管理回収業務・現地調査業務」、「地域ぐるみによる学校への地域支援総合推進事業」については、19年度に実施。20年度も実施しているところもある。
* 「電話案内による区民健康診査受診率向上施策」は、電話での健康診断受診促進という提案。新たなやり方でどれくらいの受診率があるのか、目標としている受診率をクリアできているのかというのが、まだ数字としてはっきり出ていない。ここはもう少し検討しているところ。
* 「団塊~高齢者のための<セカンド・キャリアプラザ>」については、協議終了とした(一坦委員会では採択事業としたが、実施されなかった)。理由として、当初の提案は、高齢者の就労支援だった。しかし、社会状況の変化に伴い区が、年齢幅を広げて(対象者を高齢者だけでなく、ワーキングプアーも含む)提案。事業者側は、区側の提案に対し対応が困難との理由で辞退する結果となった。
* 平成21年4月実施予定の「自転車に関する総合事業(平成19年度の採用)」は、モデル的に民営化。その結果によって、今後広げていくか検討する。
* 「債権管理回収業務・現地調査業務(福祉資金)」については、「債権管理回収業務・現地調査業務」の債権業者が提案してきた部分。今回は、福祉的な部分だが、女性福祉基金、生業資金など、区の市債権が対象となる。福祉、あるいは教育という部分の債権業務は、市債権の部分において、ノウハウもない。また難しい部分もあるとして、あまり積極的に取り組んでいない。回収については、民間委託によって、それなりに効果があった。半年間で、委託料660万円に対して、約930万円の収納金があった。完納の部分もあった。しかし、これが2、3年という部分で継続し、単位が決まっている。どれだけの効果が出ているかということは懸念している。来年度に向けては、現在検討中。

<今後の課題>
* 提案内容における付加価値。公募においては、サービスの向上などのプラスα、既存の事業に新たな付加価値が生まれるような提案が対象になる。ここが逆に言うと一番わかりにくい。付加価値とは何なのかというところが非常にわかりにくい部分である。
* 職員の意識。職員の業務に対する思いや縄張り意識がある。異なる部所が同内容の業務をそれぞれ行っていて、統一するという提案もあった。が、区役所の中の意見統一・意思統一ができなかった。
* 公募の区分。提案者、特に企業からどれだけ多くの提案を集めるかについては、相手方に何らかのメリットがなければいけない。現在の提案制度は、コンペとプロポーザルの両方で、多分企業側にとっては、都合よくコンペかプロポーザルにしているのではというように見られているという感覚があるのではないか。
* 企業側のリスクへの配慮、インセンティブ。企業側は、人的コスト、時間的コストをかけているにもかかわらず何のメリットもない、確約もないというのは、リスクが大き過ぎる。リスクの軽減あるいはそのリスクの軽減を十分にできない部分については、インセンティブを何らかの形で与える。また、競争入札なったとしても、その提案事業者の方が、できるだけ取れるような方向を考えていく必要がある。あるいは初年度については、そこの事業者に委託する、その成果を見て2年度以降、プロポーザルなど、入札をかけていくという方法もある、幾つかの方法論は考えている。
* 公募期間や審査方法。今回、公募公表が3月の終わり頃。実際に、結果報告が10月上旬、公募から半年以上かけている。企業側にとって、その間が時間の無駄。担当者もいるので、人的コストも考えていかなければいけない。
* 情報の提供。事業一覧を出しても、半分ぐらいが専門用語で、企業側が内容を理解辛い。対処方法としては、できるだけ事前の面談を考えている。今後どのようにPRしていくのか、周知していくのかということが1つの課題なっているかと思う。
* ノウハウの活用。企業側から見ると、各自治体によっていろいろとシステムが違う。よって、経験やノウハウをそのまま活かすことができない。
* 職員の意識。自分のやっている仕事がベストだ、あるいはベターだと、民間の力を借りるなり、委託する必要はないというふうに考えている職員がまだいる。 
* モニタリング<質の確保>。質の維持ができなければ何の意味もない。また、質の向上を図っていく部分も含めてモニタリングを進めている。平成19年にモニタリングのガイドラインを作成した。ガイドラインの中では、業務の質の向上と、履行の確認が柱となる。標準仕様書ということで、幾つかの業務の標準仕様書を作って、職員に提示している。
* その他として、履行評価票、業務の質をどういう視点で、どう評価していくのかということを示すため、検討会にて報告を出している。杉並の場合、履行評価については、事業者が自己評価、同じ評価票で、事業者だけでなく、所管課も評価する。そこの差異については、両方で協議し合って、水準の確保、要求水準を明確にし、相互に理解してもらうということが1つの目的。

(質疑応答)
Q(大杉委員):事業開始というのは、公募によって株式会社等へ委託を始めたということか。その中で、「団塊~高齢者のための『セカンド・キャリアプラザ』」が、協議終了というのはどのような意味なのか。
A(今井委員):事業者の提案に杉並区の現状を踏まえて、もう少し幅を広げた年齢層でということで、その事業を行ってほしいという要望を出して、その関係で状況を再度詰め直したところ、事業者にちょっと難しいだろうと言われた。
そういう意味では、「税・国保『電話等による自主納税呼びかけ業務』」については、提案いただいた事業者にインセンティブをかけてプロポーザルをかけたが、落ちた。提案した事業者がこの事業を取れなかった。プロポーザルにして、インセンティブを載せたにもかかわらず、ほかのBという事業者の方が提案の内容が非常に良かったということで落ちてしまったケースだ。
Q(小川委員長):「地域ぐるみによる学校への地域支援総合推進事業」は、経費面でどのくらいの削減があったのか。
A(今井委員):この事業に関しては、事業経費自体が減っているわけではなく、職員の定員減というのが1つの効果として出ているということと、あと事業が今まで3つそれぞれ独立してやっていたのが、1つになったということで、利用者側としては非常に利用しやすくなったという部分がある。
Q(渡邉委員):モニタリングについて、民間委託をしてしまうと、担当職員がいなくなって、もうその業務を評価できる人がいなくなってしまうという可能性もあるが、その対策はあるか。
A(今井委員):業務委託の部分では、あくまでも自治体の事業や業務を委託するので、所管がないということはない。要するに民営化するわけではないので、指定管理者もそうだが、所管は必ずいる。そこの中で評価をしていくので、基本的に丸投げではない。どういう評価をするのか、どういう考え方でやるのかということを含めて、モニタリングガイドラインを作成した。
A(清水氏):モニタリングやチェックの仕方(双方をチェックしたり、第三者がチェックするのかなど)、ここは結果として非常に重要な点だと考える。

* (清水氏)「提案にうまみがないと企業は出てこないから、考えてあげないと企業は提案しなくなる」ということについて、考えてくれるのは、民間企業としてうれしい。
* 企業からすると、やはり入札が一番嫌。安かろう、悪かろうで行ってしまう。プロポーザルレベルのものもあるとうれしい。また、随契は、企業も気持ち悪い。たたかれる材料にもなる。何でこの会社と随契したのというのは、企業の側からしても、非常にコンプライアンス上問題がある。
* (今井委員)民間がコンペをやるときは、当然それに対して何らかの対価、アイディア料、参加料を払う。それで採用されたものについては、それに上乗せしてお金を払うというのが一般的。だが、行政はそれがなかなかできない。その割にはコンペの意味合いをこうやって都合よく入れているというのは、やはり民間からすると、余り信用できないのではないか。やはり、現状の市場の中で、役所が役所のルールではなくて、民間ルールとか市場ルールをどれだけ取り入れてやっていくかしないと考える。

Q(吉川委員):提案したところが落ちてしまったという「税・国保『電話等による自主納税の呼びかけ業務』」は、要するに最初の提案という意味なのか。
A(今井委員):民間事業化提案制度にのっとった提案があり、その中でプロポーザル方式がとられた。審査結果の分類でA-2「独自性が比較的高くないもの」に分類され、プロポーザル方式で所管が公募をかけ、提案事業者に対しては、インセンティブを何らかの形で働かせたということ。

Q(吉川委員):最初の提案を引き出すためのインセンティブというのは、多分何か考えないといけないというところだが、プロポーザルの時点でも何か配慮しないと、なかなか提案が出てこないという意味か。
A(今井委員):そう考えているが、その辺の兼ね合いが非常に難しい。また、提案者をあまり配慮してしまうと、今回のように、本当はもっと良い業者がいたということもある。また、インセンティブという考え方自体が、役所の中では、まだ馴染んでない部分なので、どう考えていくかというのは、ひとつの課題だと思う。

Q(清水氏):業務によっては、「この切り口で、絶対うまくいく」というものもあるが、それをスキルとして話した段階で、オープンになってしまう。言いたくないけれども言わないと、「御社は何ができるの」と、「抽象的なこと言ってどうするの」と言われる。それは、企業と行政間で事前の面談を行う、いわゆるコンペティティブダイアローグで、基本的にオープンしない。そして、最後にプロポーザルで3社ぐらいが行って、本当に一番いい形のものを選ばせるぐらいでないといけない。その場合に、行政手続上問題が起こるわけだが、オープンにしないということは、一定の特定業者と特定の話をするということなので、逆に言うと危ない。そういうことがあって、企業も、どこまで言って良いのかわからない。
A(今井委員):今、知的財産権という問題もある。こちらとしては企業からの提案なり、やっていきたいという希望については基本的には、非公開で対応している。なので、審査の経過についても、そういう部分を考慮して非公開でやっている。そういう中で、契約を含めて履行部分も含めて、きちんとした体制を組んでいるという前提で委託をしていくということで理解を求めていかないと、なかなか理解がされないという部分がある。「個人情報は出しません、国の情報は出しません、企業の情報は出します」というのでは、バランスが悪いのではないかという考え方なので、非公開でやっている。よって、提案、または面接に来た方については、一切公開していない。社数と分野は公表するが、提案に関しては、一切出していない。なかなかその辺が企業の方にうまく伝わらない、また、伝える場所もない。行政が、ノウハウを持っていないのが、一番厳しいところかと思っている。

(5)株式会社ジェイコムからの事例紹介
○ 清水氏 
<市場化テスト事業参入の経緯>
* 入札、審査が10月、そして、結果報告が11月。12~3月と準備して、4月から実施というスケジュール。4月は大混乱だった。
* 結果的に、参加予定者4業者からの入札があって、官民競争をした。点数が1,050点計算で、価格点が250点、技術点が750点、付加点が10点ということになっている。250という価格点は、価格重視ではない。少なくとも技術点の750点が非常に大事だったので、民間からすると非常にわかりやすかった。
* 実は勝てないと思っていた。トータルでいくと、ジェイコムが788点、県が783点であった。コストは、少しジェイコムが安価で、約3,900万円(予定価格4,700万円)だった。 
* 今回の事業は、旅券業務の中で、旅券作成・交付は、既に業務委託で、ほかの業者に発注されていた。したがって、今回の対象は、旅券の中の申請受付の部分と申請審査の部分だけを切り出したということ。
* こういう中途半端になると、ここで特に問題なのは、一冊の旅券に対し、受付担当の民間企業と審査業務を担当する行政側と実際に旅券を作成する別の民間会社がかかわることで責任範囲があいまいになること。加えて住所等の住基ネットの部分で、民間には任せられないので、当社の職員は、住基ネットは触れることができないことですごく非効率で、時間がかかること。
* ボリュームがないので、旅券の作成や委託までグロスでやらないと、事業としては全然面白くない。だから、今回は、市場化テストだからやったが、本来だったら、この業務は、なかなか難しいのではと思われる。

<効果>
* クレーム処理・サービスの向上。半年終わっての結果として、サービスがすごくよくなった気がする。以前の対応が変わったり、事務的な雰囲気がなくなったり、待ち時間がすごく少なくなった。
* クレームは、ジェイコム職員が全部やる。行政は、謝ることで、行政訴訟になったらどうするのかといった懸念があるが、民間は全然問題ない。また、クレームの種類によっては、責任者が、利用者に対して注意することもある。やさしく言ったり、あるいは厳しく言うなどいろいろな柔軟な対応により業務がスムーズになった。


<今後の課題>
* 官民のコスト面でのイコールフッティング。官側のフルコストの事前調査。イコールフッティングするためには、事前調査で、必ずフルコストが見えないといけない。公平性を担保するために、事前開示が必要。
*監理委員会メンバーの業務に関する専門性。監理委員会が公正な評価の下に、専門的な技術や業務について、専門性を持って評価することが必要としている。が、旅券事務所の経験がある人は、監理委員会にいない。本来ならば、パスポートだったらパスポートの技術面などが、よくわかっている委員によって評価させた方が、もっと効果的だと思う。
* 評価の相違。例えば、今回の評価のひとつに、5時半に業務終了しなさいというものがある。それが1分遅れたら、マイナス1点とかで、50ポイント過ぎたら、業務改善命令につながる。単なる数字なので、それは向こうの職員の方には全く関係なく、うちの職員のパフォーマンスで決まるという評価。これは全然面白くない。協働の意味がない。新しいパートナーシップ、一緒に効率的に行って、県民サービスが向上して喜ばれたら、お互いに評価されるというモニタリング、または、評価システムにしてほしいと思う。
* 官に対する評価。民間の評価は非常に厳しく出ているが、官の評価はだれがしているのという話になった。官の評価が悪いときに、どのように対処するのかというのがない。民間は、悪いと言われたら業務改善命令など対処がある。協働化というには、お互いに同じ目標を共有して、それが評価につながるようにしないと、絶対にうまくいかない。
* 手続きの根本的な変更への行動制約。官側は、実績35年の歴史的なものから、事業に対して自信がある。市場化テストは行革目的でもあるので、外務省で可能と言われた部分においては、手続も段取りも変えて、効率的な作業を実現することが出来る。その点を官民が、すり合わせる場面をつくる必要がある。官の歴史の踏襲では民から生まれる良質なサービスにはたどりつけない。
* スキームと責任区分の明確化。民間と官が、管理者と委託側として、混在している状態の中で、同じものを持っているときの難しさというのがある。事務作業の簡素化のためには、事前に民間に委ねる場合のスキームの明確化は必須。責任区分も詳細に区分化する必要がある。
* 官民対等で、評価と「支払い」が連動したモニタリング。官民両者が、共同認識を持つために、官民それぞれのモニタリングが必要。また、モニタリングした評価に、必ず支払いのメカニズムをつけることが重要。

(質疑応答)
Q(小川委員長):大阪のパスポートセンターは切り出しではなくて、全部やっているのか。
A(清水氏):大阪のパスポートは業務委託で入札。要は幾らでやるか。切り出しではない。それが全部ほとんど切り出されていて、旅券も、交付も、作成も、全部やっていて、管理職的な職員の数は相当少ない。

Q(小川委員長):愛知県は、なぜ大阪のようにしなかったのか。
A(清水氏):交付・作成を既に1年ぐらい前に、別業者に先に切り出して業務委託していた。今回間に合わなかったのではないかと想像している。おそらく今回終わって2年後ぐらいに、その契約が切れた段階で、全部出すようになると思う。現在は、過渡的な状況かと思う。

Q(小川委員長):そもそも論だが、旅券の審査・交付は、県の責務として引き続き直営で実施、この部分も含めて大阪ではやっているということか。審査と交付はできないのでは。
A(清水氏):外務省のいわゆる旅券法は、基準があるから、最終的には、すべてを民間に出すことは不可能。民間は、あくまでも受付または、整理業務ということ。

(清水氏)外務省と直接話すと、様々なことが実施できるかもしれないと言うことが分かってきた。したがって、様々な業務改善ができる。県側で今までできなかったと思っていることが、民間で考えて外務省と話をするとできるということが結構ある。そういう意味での効果は、民間としても非常に特殊なノウハウになっている。国との関係、あるいは地方行政との関係が、オープンになって話をしたら、民間にとっては、もっと面白いかもしれない。

Q(渡邉委員):ただ、(関係省庁の)担当者によって、意向はそれぞれに違うのでは。
A(清水氏):それはしようがないかもしれない。行革していくとなると、柔軟なタイプの人かどうかによって変わることがある。それをオープンにし、議論して、ある程度の枠の中で収まっていくというのが、自然な姿だと私は思う。

Q(今井委員):企業側として、対行政のモニタリングということ自体は当然か。
A(清水氏):当然だ。第三者の民間会社にモニタリングを委託するというケースが結構多い。自己評価も必要とされるので、アンケートを取って評価している。
A(今井委員):「モニタリングの評価」や「何をモニタリングするのか」は、非常に大事なところなので、そこは、意見が分かれたりする。今回もわかりやすいように、5時半に終わったら良いというのが評価のポイントだが、それは住民にとっては何のメリットもない。5時5分になっても受けている。だから遅れてしまい、失点となる。住民にとっては、ちょっと過ぎても処理してくれたほうがよいのではないだろうか。このような微妙な5分、10分を民間が吸い込んであげることで、違う気がする。
A:どうしても行政側は、「履行の確認」と「履行の質の評価」という区別ができていない。ずっと履行の確認として実施し、それに対してお金を払うかどうかというのを見ていくので、時間などの数量的な制限をしていることが多いかと思う。

4.閉会