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平成21年度 ディスカッション要旨
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■コメンテーター 
 総務省自治行政局行政課行政第四係長 萩原 良智 氏
 千葉県総務部総務課行政改革推進室副主幹 石井 慶範 氏
 柏崎市財務部行政改革室長 松谷 範行 氏
 アクティオ(株)指定管理事業部東日本営業課長 薬師寺 智之 氏
  シンコースポーツ(株)常務取締役 白木 俊郎 氏
■司会進行
  財団法人地域総合整備財団融資部長 浅野 正義

 


 
■ ディスカッション① ≪修繕費等の分担について≫  

○シンコースポーツ
 全国には基準が若干あいまいなところもあるので、協定の段階でマトリックスにする。1案件幾らというものだけでなく、類似修繕が複数ある場合など、グレーゾーンをしっかり話し合っておく。事前の打ち合わせをきちんとやり、優先交渉権が決まった後に、担当者を含めた市側と粘り強く話し合いをして決める。
 これまで一番良かったと思うのは、修繕費を外すという提案。出来高制にして、実費、もしくは市がすべて持つという形で、1度一定額を払うが差額も見るというもの。民間事業者は水光熱費や修繕費で利ざやを考えていないので、修繕費は基本的にはきちんとスタート段階で話をしたほうがよい。

 

○アクティオ
 基本的には、協定書の締結の段階で、なるべくお互いの考え方を整理した上で進めている。修繕費、水光熱費に関しては、予算額をまずいただいて、余った分を返しているケースも幾つかある。
 修繕費を残そうという気は余りないので、予算を使っていなければ、1件当たり幾ら以上という協定の部分があっても負担するというのをやったりしている。
 大きな修繕と小さな修繕をどのように計画してやっていくのか、優先順位をきちんと決めて、今年はここまでを予定して予算が余ったらここまで、とお互い修繕で何をしなければいけないのか協議した上で、予算を有効に活用していくのが今のところ一番いいと思っている。お互い弾力的にやることで、施設の維持管理を適正に保っていくということをやっている。

 

○柏崎市
 一定額以上のものは市、小さい部分は指定管理者というすみ分けもやっているが、修繕は突発的に発生するので、予算を持っていない場合予備費を充用するか、補正予算を組むかということになる。補正予算となるとなかなか議会議決の時期が合わないので、その修繕費の中身を細かく分解してパーツ毎に分けて、指定管理者に押しつけることもあった。申し訳なかったが、実際そういうことをやっている部分で非常に問題があると思う。
 指定管理者を選定あるいは公募する前に、この建物は建築後何年経っているか、修復履歴、近隣の同程度の施設の修繕等の実績はどうかなどをしっかり指定管理者に明示していく必要はある。
 一定の金額以上、以下という部分の議論もあるが、なかなか額で判断できないものもある。協定の中で、そういう部分はしっかり事前にやりとりしていく必要がある。

 

○千葉県
 千葉県でも柏崎市と同じように危険負担の表みたいなものがあって、簡単に言うと、大規模なものは県で、小さなものは指定管理者ということになっている。ただ、それは大ざっぱな話で、各仕様書の中でもう少し細かく決めているところもある。
 金額で決めるというのはなかなか難しいし、1件の解釈というのもあるが、一応の目安ということで金額を検討するのも必要であると思う。
 修繕の実績とか履歴、今後の修繕の見込み、できる限りのことは考慮して、そういうものを反映させて、指定管理者と協議して協定を決めていくことが必要である。

 

○総務省
 構造物の設計上不完全な点がある場合等通常有すべき安全性が欠けていたことが原因で、利用者に損害が生じた場合には、国賠法上設置者である地方公共団体が責任を負うこととなると解されますので、それをまず前提に考えることと、老朽化した施設自体のあり方などの判断は、基本的に長の判断で行うものと考えられますから、その投資費用は長が負担するのだろう。
 条例の規定にもよるが、指定管理者の業務範囲はそもそも長の権限の「管理」に収まるので、施設そのものの本質を変更するような管理業務は基本的には指定管理者にはできないもの。いずれにしても、費用分担等のあり方を協定等で事前に協議しておくことで円滑に運用されるのではないかと考える。

 


 

■ ディスカッション② ≪利用料金、指定管理料の取り扱いについて≫

 

○アクティオ
 指定管理業務の料金収受形態としては、指定管理料のみ、指定管理料と利用料金の併用制、完全利用料金制と3つパターンがあると思うが、完全利用料金で施設を運営するのは難しいので、ほとんどが指定管理料のみか利用料金との併用制というのが全国の現状であると思う。当社では大体の施設が指定管理料のみか指定管理料と利用料金の併用制で、利用料金を一生懸命頑張って収入を増やしていこうとしている。
 難しいのが、予想以上にもうかってしまった、収益が出たときにどうするかだが、きちんと協定に定めておくことが重要。予定よりも収入が上回った分を自治体が取ってはいけないということはないが、後から返してというのは勘弁していただきたい。
 当初予算を上回って収入があった場合は修繕投資や備品整備にかけたりもしているので、決して上回ることが悪みたいなことではなく、双方にとって有利不利がなく適正に運用していくことが出来る基準を定める事をぜひお願いしたい。
 よくインセンティブがあった場合に返してという話があるが、マイナスになった場合、逆のインセンティブの部分を自治体が持ってはくれないと思うので、リスクとリターンはどこなのか、公募の前や協定締結までにきちんと整理をした上で進めていくのが非常に重要かと思う。

 

○シンコースポーツ
 やはり収入が不足して事業者が補てんするケースは多々あるかと思う。逆に、余り過ぎて事業者が黒字を出し過ぎて返さないのは、公の施設であるまじき行為だという話も全国で聞く。当方の新規案件で、提案想定の150%を超えたケースがあった。当然完全利用料金ではなく併用だが、その大きな差額については、去年の分についてある一定比率で返してほしいと今話をしている。新年度の分については交渉に応じていただいているが、過年度の分については、もう入ってしまい難しいというのが市の見解である。
 利用料金制度は、大きくマイナスしてもプラスしても、運営者が負担するという原則が多い気がする。

 

○柏崎市
 いわゆる収益施設、温浴施設や宿泊施設を運営している自治体も多いと思うが、収益施設については、完全にせよ一部にせよ、利用料金制になると考えている。あるいは介護保険施設等の社会福祉施設みたいな部分も一部利用料金制という中で、場合によっては独立採算というところも出てくると思う。
 注意すべき点は、平成12年に閣議決定された民間と競合する施設の改革で、自治体は結婚式場や温泉といった民間と競合するような施設についてはなるべく造らないようにとされている。そこを裏読みすると、そういう施設の運営についても、公費を投入してまで運営するというのはいかがなものかということで、その観点からは、指定管理代行料を支払うというのはどうかという気がする。
 プラス(収益)があった場合に市のほうが搾取するということもあるのかもしれないが、それを冷静に考えてみると、市側に指定管理者がかなりの金額を市に戻す、となったときに議会で説明することとなる。そのときに、一部利用料金制である指定管理代行料のそもそもの積算が適切だったかどうか、あるいは利用料金の設定がどうだったのかというところを指摘されてしまうと、ちょっと答えられないという部分もある。
 逆に、マイナスのとき(損失が大きい場合)に市は追加で代行料を出してくれるのかという議論もあるが、当初決めた利用料金制であれば、その中身の中でやってほしい、全部完結してほしいというのが私どもの考えであるし、実際にはプラスになってももらっていないというのが実態である。

 

○千葉県
 やはり協定で初めから、ある一定金額が出た場合は納入してもらうなど、そういうことを決めておかなければできないと考えている。千葉県の場合は、導入するときに収益が上がる施設かどうかを検討し、実績を見て、民間がやった場合にどれぐらい収益が出るのかシミュレートして決めた。そうした場合、当県は駐車場と宿泊施設がバックしてもらえる施設だということになり、いろいろ検討を加え実施した。

 

○総務省
 基本的な考え方からすれば、効率的な管理を実施する観点から、今の指定管理者よりも低いコストで高いサービスを確保できるのであれば、民間側が利潤を上げることは想定されている。ただし、過度に利益が上がっているような場合に指定管理者が住民へのサービス還元をしないとか、利用料金の引き下げの申請をしないような場合、各地方公共団体の判断で指定管理者に対して利用料金の引き下げの指示をすることが可能であると考えられる。いずれにしても、利用料金の過剰な引き上げ等により住民サービスの質が低下しないような形で適切に対応することが重要だと認識している。

 


 

■ ディスカッション③ ≪モニタリングについて≫

 

○千葉県
 客観性や信頼性を向上させる手法として第三者委員会は有効だと思う。千葉県では教育施設、文化施設、文化会館などに検討委員会を設け、全部で9施設だが、その結果をホームページで公表している。千葉県ではモニタリングのガイドラインを作っており、その中で第三者委員会もやったらどうかとしている。そのほかにも満足度調査や、月次、年次での報告を出させて、ヒアリングや実地調査なども内容にある。
 そのほかに、公の施設を対象にアンケートボックスを置いて、ボックスに入ったものについては全部対応しろと。できたものはこのように対応した、できないものはこういう理由でできないと掲示するようにしている。最終的に、それをまとめてホームページで公表している。アンケートボックスについてはコストもかからず、非常にいいと考えている

 

○柏崎市
 柏崎市でもモニタリングのガイドラインを策定して実施している。ちょっと他の自治体と変わっているところは、中小企業診断士と契約して、私どもが危うい、おかしいと思う施設に抜き打ちで診断士を派遣して、モニタリングみたいなものをやってレポート提出をしていただき、そのレポートの一部を議会に報告したり、あるいは指定管理者に見せるということをやっている。
 また、体育施設系では、施設のあり方やどんなプログラムを組んだらいいのかなど、県内の大学の先生に委託しているところが変わったところだと思う。
 実際にモニタリングの取り組みでいうと、職員が要する時間、そのコストが非常にかかっているという気がする。指定管理者側から上がってくるモニタリングの中を点検して、なおかつ自分たち所管課の中でまたレポートを作って私どもに上げてくるということになると、相当な時間、労力がかかるということで、相当苦情があった。結果的にはモニタリングシートを簡略化したのだが、例えば観光所管課とか体育所管課あたりは、1人の職員が幾つも施設を持っているので、そのレポートを書くのに相当な時間がかかってしまうということで、相当嫌われている部分もある。
 それから、今までは自分で管理をしていたので、自分の中でいろいろな数字なり施設が見えたのだが、年度末にポンと結果が上がってくる。国の交付金事業等の報告や会計検査等の話が来たりすると、それをまたひっくり返して、中身を自分で精査してやることになり、とても時間が足りないということで、モニタリングはやめてくれという声がすごく多いのかと思う。
 第三者評価という部分では、確かにやるべきだと思っているが、私どもは行政改革を担当しているので、なるべく余計な委員会をつくらないということで、行政改革推進委員会に報告して済ませているが、小さい都市では委員も少人数なので、そうするとその施設の成否が1人の委員の意見で大きく左右されてしまい、その意見で委員会全体が流れてしまう虞があり、なかなかやりづらい部分がある。今のところは評価と言いながらも報告で収めているというのが実態である。

 

○アクティオ
 モニタリングはいろんな施設で受けており、自治体によって内容や姿勢が違うところが戸惑いだったりするが、最近はそれぞれの自治体がその目的や内容を予め定めるという事を始めていて、少しずつ流れに乗っているというのが今のモニタリングの現状だと思う。
 モニタリングと評価は同一のものなのか。私は違うと思う。モニタリングというのは、そもそも指定管理者が今現在きちんと業務をやっているのか、法令遵守しているのか、逸脱していないのか、逸脱しないところでちゃんとやっていこうというのがモニタリング。評価というのは、提案書や要求水準を満たしているのか満たしていないのかだと私は思う。モニタリングをやれば良いというものではない。
 何のためにモニタリングを実施し、何を把握していなければならないのか。それと結果をどう反映していくのかをそもそもきちんと整理していけば、それほどモニタリングは難しくないのではないか。
 もう1つ、第三者評価でいろいろと意見もあるが、横浜市は第三者評価を積極的にやっていて、これは私どもからしてみたら、結構良かった。なぜかと言うと、第三者だから良かったのではなくて、横浜市のシステムでやると、自己点検がすごくよくできた。自分たちがやっていることに対して、ここは正しい、ここはもうちょっと頑張らないといけない、ということをやっていって、より良い施設運営に生かしていくということでは非常に良かった。だから、誰が評価するかということよりも、その評価したものをどう反映していくかを考えていけば、自治体にとっても、民間事業者にとっても、非常にいいシステムだと思う。

 

○シンコースポーツ
 横浜市の例は、うちも大変良かったと思っている。いろいろな形の外部評価があり、内部評価もあるが、施設が良くなり、事業者が成長していく上でお互いにとって刺激がある。もしくは地域住民サービスにとってもとてもいいことだと思うが、スポーツ施設の場合、高い専門性を持つ評価委員がどのぐらいいるか、それが正しいか、もしくは偏っていないかというところでは、これから少し時間がかかると思う。

 

○総務省
 モニタリングも特段、法令上規定があるわけではなく、あくまで指定管理者による住民へのサービス提供に関して、法令遵守がされているか、果たして適切で確実なサービスの継続性を確保できる民間事業者なのか、という点を確認するための1つの手法なのだろうと認識している。

 


 

■ ディスカッション④ ≪緊急時の対応について≫

 

○柏崎市
 経験談だが、マグニチュード6.8という地震が2回来たことで、大変な状況であった。防災マニュアル、風水害も含めていろいろあるが、全く機能しなかった。
 不可抗力の事象、災害が起こったときにどうなるか、一般論でいうと、災害のために利用者あるいは使用者が激減する施設がある。風評被害もある。使用不能となってしまった施設、施設が壊れて一部縮小を余儀なくされる施設もあった。
 本来の用途には供さずに避難所となってしまった施設もある。そこの指定管理者は、その日からその避難所対応に追われる状況になってしまった。
 それから、災害復旧のための施設になった部分もあり、ほぼ指定管理者施設としては機能しなくなる。
 ではその精算をどうするかとなると、結果的には年度末に精算することになった。
 防災マニュアルは全然機能しなかったが、私どもが指示をする以上に、それぞれの施設の職員の皆さんが本当にフル稼動で頑張っていただき、すごくありがたかった。
 そこで、とりあえず地震が終わった、修復はどうするという話だが、市は特定財源頼み、国庫補助が来るからそれまで待ってという話になる。指定管理者にしてみれば、市が単費でお金を出せば来週からでもできるではないか、というやりとりがあった。
 結果的には、それぞれの施設の修繕も、その精算も、ケース・バイ・ケースで、その後、大きなトラブルはないが、いろいろ難しい問題もはらんでいると感じた。

 


 

■ ディスカッション⑤ ≪公募、非公募について≫

 

○総務省
 基本的な考え方としては、公平公正かつ透明性を確保してくださいということで、具体的な方法としては、複数の事業者から事業計画書を提出していただきたい旨お願いしている。ただ、地域の実情に応じて最適な者がいないと長が判断すれば、公の施設の目的や性質によっては公募によらない手続きになるということもあり得るもの。
いずれにしても、公の施設の目的・性質等に応じて、判断いただきたい。

 

○千葉県
 千葉県では、当初から原則公募で全庁的にやっているが、施設がある市町村との施策の連携上、市町村を指定することが適当な場合は公募によらない。
 また、施設によっては公の施設を管理させるために設立した団体が、合築で自前の施設を持っているところがあり、当該施設に併設される施設の運営法人を指定することによって効果的、効率的な運営ができる場合も公募によらないことができるとしている。
 もう1つ、管理上緊急に指定管理者を指定しなければならない場合も公募によらない。
 公募によらないのは、ガイドラインでこの3つに限られるわけではなく、合理的な理由がある場合、説明がつけばいいとしている。

 

○シンコースポーツ
 特殊な施設などいろいろな場合はその限りではないが、原則的にはやはり公募がよいと思う。